水中における光技術を推進する「ALANコンソーシアム」は2022年3月22日、開発中の光無線通信装置を公表した。21年11月末に海洋研究開発機構(JAMSTEC)と共同で性能試験を実施した開発品で、海中での通信距離100m超かつ、通信速度1Gbpsを達成している()。水中ドローンに搭載できれば、通信ケーブルが不要になる。

図  ALANコンソーシアムの開発品
図  ALANコンソーシアムの開発品
水中利用を想定したLiDAR(左)と光無線通信装置の送受信機(右)。(出所:ALANコンソーシアム)
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 光無線通信装置の送信側と受信側は、別々のきょう体に分かれている。送信側には青色または緑色の半導体レーザーを、受信側には光電子増倍管を用いた。レーザーと光電子増倍管をそれぞれ複数配置し、水中における長距離かつ高速なワイヤレス通信を実現したとする。

 ただし、100m超かつ1Gbpsの性能は、いわゆるベストエフォート。揺れ動く水中で、遠く離れた送信側と受信側の光軸を一致させるのは容易ではない。21年11月末の実験は、相模湾の水深1000mの深海で、JAMSTECが保有する無人探査機「かいこう」を用いてなされた。将来的に実用化する際は、海中での通信距離は5~30m、通信速度は5Mbpsほどを想定する。

 ALANコンソーシアムは、並行して開発を進める水中LiDAR(Light Detection and Ranging、レーザーレーダー)装置の状況も明かした。22年の最新の開発品は、MEMSスキャン方式を採用して小型化を図りつつ、以前よりも計測性能を高めている。

 具体的には、計測点数が1秒あたり8万ポイントの水中LiDARを開発し、容積6.6Lの円筒容器に収めた。2019年に公表したガルバノスキャン方式の水中LiDARと比べて、計測点数を20倍に増やしつつ、容積を半分以下にした。今後、性能を検証する。